James Palinsad

料理本大賞の「The 2018 IACP Cookbook Award」発表!

クックブック・オブ・ザ・イヤーはあの野菜のcookbookに

Junicci Hayakawa / 早川 純一
ククブク
Published in
15 min readFeb 27, 2018

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賞レースのシーズンが料理業界にもやってきました!

世界中のシェフやレストランオーナー、フードライターなどが参加している「International Association of Culinary Professionals(IACP)」がすぐれたフードメディアを顕彰する「IACP Award」の今年の受賞作品が、昨夜発表となりました。

アワードは「cookbook」「フードライティング」「デジタルメディア」「フードフォトグラフィー&スタイリング」などの部門に分かれていて、各部門でさらに各賞が設定されているのですが、今日はcookbook部門について、今年の受賞作品を見ていきたいと思います。

ククブクでご紹介した作品がたくさん受賞を果たしているので、それらには詳細なストーリーへのリンクも貼っておきますね。

3月1日追記:

IACPは、理事自らがcookbookの編集に関わっていたということで、「一般料理本賞」と「クックブック・オブ・ザ・イヤー」の受賞を取り消しました。

どうしてノミネートの段階で気づかないのか疑問なのですが(表紙にも名前が書いてある!)、とりあえず、2018年は「受賞作品なし」となるのか「繰り上げ受賞」になるのか判明するまでは、このまま掲載しておきます。

🏆アメリカ料理賞

サミン・ノスラット『Salt, Fat, Acid, Heat: Mastering the Elements of Good Cooking』(Simon & Schuster)

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cookbookとイラストレーションの新たな関係を作り出し、昨年話題となった『Salt, Fat, Acid, Heat』がアメリカ料理賞を獲得。

ククブクで最初に取り上げたのは、昨年4月でしたね。

🏆ベイキング賞

ジェイミー・カール『Candy Is Magic: Real Ingredients, Modern Recipes』(Ten Speed Press)

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ベイキング賞は、ポートランドのキャンディショップ「クイン」のcookbookが、まさかの受賞。

ベイキングの定義ってやっぱりよくわからない……。

🏆シェフ&レストラン賞

ポール・カーン&レイチェル・ホルツマン『Cheers to the Publican, Repast and Present: Recipes and Ramblings from an American Beer Hall』(Lorena Jones Books)

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シカゴの人気ビアホール「ザ・パブリカン」のcookbookがシェフ&レストラン賞を受賞。

ちょっと地味な茶色い料理が多いんですが、料理は見た目じゃないことを教えてくれます。

『Cheers to the Publican, Repast and Present: Recipes and Ramblings from an American Beer Hall』より

🏆チルドレン、ユース&ファミリー賞

ディアナ・F・クック『Baking Class: 50 Fun Recipes Kids Will Love to Bake!』(Storey)

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🏆コンピレーション出版賞

ブルー・エプロン・カリナリー・チーム『The Blue Apron Cookbook: 165 Essential Recipes and Lessons for a Lifetime of Home Cooking』(Harper Wave)

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アメリカのミールキット会社「ブルーエプロン」が作ったcookbookがコンピレーション出版賞を受賞。

『The Blue Apron Cookbook: 165 Essential Recipes and Lessons for a Lifetime of Home Cooking』より

IPO後に株価は低迷してますが、本は評価されたようです。

🏆料理トラベル賞

マイケル・ハーラン・ターケル『Acid Trip: Travels in the World of Vinegar』(Abrams)

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内臓料理の『Offal Good: Cooking from the Heart, with Guts』で写真を手がけ、スモウ・シチューなどのイベントも企画するマイケル・ハーラン・ターケルが、自身の著書で料理トラベル賞を受賞しました。

世界の酢と、それを使った料理のレシピを紹介しているcookbookです。

『Acid Trip: Travels in the World of Vinegar』より

🏆IACP ジュリア・チャイルド・ファーストブック賞

サミン・ノスラット『Salt, Fat, Acid, Heat: Mastering the Elements of Good Cooking』(Simon & Schuster)

すぐれた第1作目のcookbookに与えられる、ジュリア・チャイルド賞も、サミン・ノスラットの『Salt, Fat, Acid, Heat』が受賞しました。

最初のcookbookで、権威あるIACPアワードをダブル受賞ですから。

早くも次のcookbookが楽しみです。

またイラストレーターのウェンディ・マクノートンと組んで欲しいなあ。

🏆フード問題賞

マッズ・レフスルンド&タマ・マツオカ・ウォン『Scraps, Wilt & Weeds: Turning Wasted Food into Plenty』(Grand Central)

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野菜くずを無駄なく利用し、食品廃棄問題に一石を投じる『Scraps, Wilt & Weeds』が納得の受賞です。

🏆ライフ&スタイル フォトグラフィー&スタイリング賞

カレン・モーデカイ『Simple Fare: Spring and Summer』『Simple Fare: Fall and Winter』(Abrams)

ククブクでは2017年7月のランキングで注目していました。

予想通り、『Simple Fare: Fall and Winter』も発売されていたんですね。

🏆一般料理本賞

ジョシュア・マクファデン&マーサ・ホルムバーグ『Six Seasons: A New Way with Vegetables』(Artisan Books)

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一般料理本賞は、ククブクでも強力プッシュした『Six Seasons』が受賞。

うちでも愛用しています!

🏆ヘルス&スペシャルダイエット賞

ジェン・ルイス&キャスリーン・スクワイアズ『The Book of Greens: A Cook’s Compendium of 40 Varieties, from Arugula to Watercress, with More than 175 Recipes』(Ten Speed Press)

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🏆インターナショナル賞

ジョアン・ネイサン『King Solomon’s Table: A Culinary Exploration of Jewish Cooking from Around the World』(Alfred A. Knopf)

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「100人のホームクック」でご紹介したジョアン・ネイサンの、ユダヤ料理の決定版cookbookがインターナショナル賞を受賞です。

🏆文学的フードライティング賞

エミリー・カイザー・テリン『Unforgettable: The Bold Flavors of Paula Wolfert’s Renegade Life』(Grand Central)

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こちらの受賞も、ククブク的にはうれしい!

忘れられたcookbook作家、ポーラ・ウルファートの人生とレシピを紹介する『Unforgettable』が、文学的フードライティング賞を受賞。

大手出版社からの再販も果たしたんですよね。

🏆ライフ&スタイル 参考書&技術書賞

マリセル・E・プレシラ『Peppers of the Americas: The Remarkable Capsicums That Forever Changed Flavor』(Lorena Jones Books)

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ラテンアメリカの女性として、はじめてホワイトハウスのゲストシェフに任命されたマリセル・E・プレシラのトウガラシだらけのcookbookが見事受賞です。

🏆単一テーマ賞

デイナ・クリー『Hello, My Name Is Ice Cream: The Art and Science of the Scoop』(Clarkson Potter)

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先ほどの「ザ・パブリカン」でペストリーシェフを務めていたデイナ・クリーの、アイスクリームのcookbookが単一テーマ賞を獲得です。

『Hello, My Name Is Ice Cream: The Art and Science of the Scoop』より

🏆ケンダル・ジャクソン ワイン、ビール&スピリッツ賞

ピーター・リェン『Champagne: The Essential Guide to the Wines, Producers, and Terroirs of the Iconic Region』(Ten Speed Press)

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ChampagneGuide.netを運営しているワインライター、ピーター・リェンの、10月発売のシャンパーニュのガイドブックが受賞。

『Champagne: The Essential Guide to the Wines, Producers, and Terroirs of the Iconic Region』より

🏆デザイン賞

アクション・ブロンソン&レイチェル・ワートン『F*ck, That’s Delicious: An Annotated Guide to Eating Well』(Abrams)

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こちらもククブクで強力プッシュしましたね。

マンチーズの人気パーソナリティーで「まいうーラッパー」の、アクション・ブロンソンのcookbookがデザイン賞を受賞です。

『F*ck, That’s Delicious: An Annotated Guide to Eating Well』より

🏆ジェーン・グリグソン賞

ネイサン・ミアヴォルド&フランシスコ・ミゴヤ『Modernist Bread』(The Cooking Lab)

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すぐれた学術研究の結果をまとめた書籍に与えられるジェーン・グリグソン賞は、ネイサン・ミアヴォルドによるパン作りのすべてを詰め込んだ大著、『Modernist Bread』に与えられました。

🏆メレディス・コーポレーション ピープルズ・チョイス賞

バートン・シーヴァー『American Seafood: Heritage, Culture & Cookery from Sea to Shining Sea』(Sterling Epicure)

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一般投票で選ばれるピープルズ・チョイス賞は、海産物の持続可能性のエキスパートであるバートン・シーヴァーの書籍に与えられました。

『American Seafood: Heritage, Culture & Cookery from Sea to Shining Sea』より

🏆クイジナート クックブック・オブ・ザ・イヤー賞

ジョシュア・マクファデン&マーサ・ホルムバーグ『Six Seasons: A New Way with Vegetables』(Artisan Books)

『Six Seasons: A New Way with Vegetables』より

そして、2018年の最高賞「クックブック・オブ・ザ・イヤー」は、一般料理本賞も獲ったジョシュア・マクファデンの『Six Seasons』の頭上に輝きました!!

ククブクでは昨年の4月にご紹介したこのcookbookですが、すでにその最初のストーリーで、なにがしかのアワードを受賞することを予言していましたよね。

それぐらい、デザイン・内容・コンセプトともに優れたcookbookだったんです。

「このcookbookはすごい」と思ったぼくは、著者のインスタグラム(@jj__mc)をすぐさまフォローし、10月には彼がおすすめ食品を紹介していたのをGQのサイトで見つけて、思わずストーリーでご紹介してしまうほど肩入れしていました。

だから最高賞を受賞したことは、自分の見る目が間違っていなかったことの証として、とてもうれしく思います。

作者のジョシュア、マーサ、そして関係者の皆様、受賞おめでとうございました!

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ジョシュアのインスタグラムでは、さっそく受賞の報告が投稿されていましたよ。

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ライター、フォトグラファー。わかさいも本舗さんのウェブサイトのコピーなど。海外の料理本を紹介するサイト「ククブク」は現在お休み中。ロン・パジェットの詩を趣味で訳してます。プロフィール画像は有田カホさんに描いていただきました。