金曜日のcookbookランキング

#140 魔物ハンターの胃袋を満たすもの

Junicci Hayakawa / 早川 純一
ククブク
Published in
9 min readNov 8, 2019

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新たな料理本との偶然の出会いを楽しむ、金曜日のcookbookランキング。

11月第2週のランキングをお伝えします。

今週は愛知県新城市と高知県香美市に行ってきました。

新城では「乳岩峡」に初めて足を伸ばしてみましたが、軽装だったのと時間的に都合がつかなかったので入り口のあたりで散策を断念。

でも渓谷の風景がとても美しく、奥の方の鍾乳石「乳岩」もなかなかの奇岩らしいので、ぜひ今度はトレッキングシューズでリベンジしたいと思っています。

そして香美市では、去年妻が参加したアーティスト・イン・レジデンスの今年の展示を鑑賞。

今年も住民のひとたちを巻き込んで自由で伸び伸びと制作されていて、アートやアーティストといった「よくわからない存在」が、だんだんと「そのままの姿で」地域に根ざしていっているのを感じました。

それに加えて、昨年妻が撒いてきた「種」が、見事に紫の花を咲かせていたのが印象的だったなぁ。

夜の風景しか見られなかったのが、返す返すも残念無念。

またゆっくり訪れたいです。

それでは、今週のランキングを見ていきましょう!

  1. Antoni Porowskiほか『Antoni in the Kitchen』(Rux Martin / Houghton Mifflin Harcourt)
  2. Julie Tremaine『Supernatural: The Official Cookbook: Burgers, Pies, and Other Bites from the Road』(Insight Editions)
  3. Susanne Ng『Deco Chiffon Cake Basics: An Illustrated Step-By-Step Guide』(Marshall Cavendish Intl)
  4. Tan Phay Shing『Macaron Basics』(Marshall Cavendish Intl)
  5. Susanne Ng『Creative Baking: Deco Chiffon Cake Basics』(Marshall Cavendish Intl)
  6. Joan Thirsk『Food in Early Modern England: Phases, Fads, Fashions, 1500–1760』(Continuum)
  7. Editors of Southern Living Magazine編『Southern Living: 40 Years of Our Best Recipes』(Oxmoor House)
  8. 『Drift Volume 8: London』(Digital Ventures LLC)
  9. 『Drift Volume 7: San Francisco』(Digital Ventures LLC)
  10. Isabella Beeton『Mrs. Beeton’s Book of Household Management: The 1861 Classic with Advice on Cooking, Cleaning, Childrearing, Entertaining, and More』(Skyhorse Publishing)

出典:Amazon.co.jp 売れ筋ランキング(すべてのカテゴリ > 洋書 > Cookbooks, Food & Wine / Kindle版は除く)

今週はアントニ・ポロウスキの『Antoni in the Kitchen』が首位を獲得!!

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Netflixで人気の『クィア・アイ』の最新版、『クィア・アイ in Japan!』が好調のようで、それに伴って日本でもアントニの知名度がぐんぐん高まっているみたいですね。

ぼくもなぜか最終話だけ観ましたが、第1話が「神回」だったらしいので、時間ができたときに改めて観てみます。

第2位はあとで取り上げますので置いておいて、今週第3位から第5位まではベイキングの本が連続ランクイン。

なかでも第5位の『Creative Baking: Deco Chiffon Cake Basics』は中国語版で、この統計を取り始めてから中国語のcookbookがランクインするのは初めてなんじゃないかな?

さて、今週ククブクが注目するのは、第2位にランクインした11月5日発売の『Supernatural: The Official Cookbook: Burgers, Pies, and Other Bites from the Road』です!

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ぱっと見は地味めな表紙で、これもまた南部家庭料理のcookbookなのかなと思ってしまいますが、意外にもこれが番組タイアップ系のcookbook。

2005年からアメリカのThe CW系で放送されているドラマ『スーパーナチュラル』のオフィシャルcookbookなんです。

ぼくは観たことがないんですが、ちょうど昨日打ち合わせのときにこのドラマのことが話題に上がったんですよね。

だからなんだかとてもタイムリーに思って、取り上げることにしました。

ドラマ『スーパーナチュラル』はキアヌ・リーヴスの映画『コンスタンティン』のように、悪魔や天使による超常現象をあつかったダークサスペンスドラマで、現在までに14シーズンが放映。

まもなく配信されるシーズン15で最終話を迎えるのだとか。

ドラマの終了に合わせて、総決算的な時期にcookbookが発売になったんですね。

番組の主人公であるディーンとサムのウィンチェスター兄弟は、悪魔狩りをするためにアメリカ各地を渡り歩いており、食事をする場所といえば、たいていは小さな町のダイナーなんだそう。

『Supernatural: The Official Cookbook: Burgers, Pies, and Other Bites from the Road』より

赤白チェックのテーブルクロスがかかっている、典型的なアメリカのダイナーですよね。

そのため、この書籍に掲載されているレシピもハンバーガーやパイなどのダイナー系のものが多いです。

例えば、ミシガン州の街でタイムループに巻き込まれたサムが何度も目にすることになる「火曜日のピッグ・イン・ア・ポーク」(シーズン3、エピソード11)や、

ディーンの大好物・ハンバーガーのなかから「エルヴィス・バーガー」(シーズン11、エピソード12)、

『Supernatural: The Official Cookbook: Burgers, Pies, and Other Bites from the Road』より

サムの好きなサラダ類のレシピや、ハンターのひとりガースの「ロードサイド・ポテト」などのレシピが掲載されています。

『Supernatural: The Official Cookbook: Burgers, Pies, and Other Bites from the Road』より

正直、番組を観ていないとどんな料理かわかりませんね😅

本書を書いたのは、フォーブス誌やブルームバーグ・ネクストなどでフード&トラベルライターとして活躍しているジュリー・トレメイン。

これまでにcookbookの著作はないみたいなので、これが初のcookbookということになりそうです。

プロフィールを読むと、「彼女はサム派かディーン派かの議論には加わらない。なぜならカスティエル派だからだ」と書かれていて、『幽遊白書』でいえば桑原派みたいな感じなのかな、と思いました。

カスティエルを演じるミーシャ・コリンズ

あ、ちょっと違ったてんて。

といったところで、今週のランキングはここまで。

また来週をお楽しみに!

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ライター、フォトグラファー。わかさいも本舗さんのウェブサイトのコピーなど。海外の料理本を紹介するサイト「ククブク」は現在お休み中。ロン・パジェットの詩を趣味で訳してます。プロフィール画像は有田カホさんに描いていただきました。