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我思うゆえに我食う

2018年に出版予定のcookbook、フード関連書籍5冊

Junicci Hayakawa / 早川 純一
ククブク
Published in
7 min readDec 1, 2017

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Eaterのどこよりも早いフード関連書籍の新刊情報をお届けします。

ニューヨーク・タイムズ紙の元批評家、ルース・ライシルが、『The Best American Food Writing』の初版のゲスト編集者となることにサインした。この本は、ホートン・ミフリン・ハーコート社によって編纂される『The Best American Series』の一部となるもの。そのコレクションには『The Best American Short Stories』『The Best American Science and Nature Writing』なども含まれ、それぞれ短編小説とノンフィクションの作品の1年間を総覧することができる。ゲスト編集者として、ライシルは2018年10月版にどんな作品を掲載するのかを選ぶことになる。今後このシリーズは、『ジ・アウル』『ザ・ヘアピン』の編集者で、『ザ・ニューヨーカー』の元マネージングエディターのシルヴィア・キリングスワースによって編集される予定だ。この新しいコレクションは、ホリー・ヒューズがネットと出版物のなかからフードライティング作品を集める、18周年を迎える本のシリーズとは関係がない。

アメリカでは、フードライティングが短編小説やノンフィクション作品と完全に同列に扱われているんですね。

これを見習って、河出書房新社の日本文学全集にもフードライティングの巻を加えてほしいなあ。

池澤さんのセレクトは、なかなか攻めていて良いんですけどね。

The Best American Food Writing』の編集者に就任するルース・ライシルは、エッセイ集『大切なことはすべて食卓で学んだ』で日本でもその名が知られています。

最後にちらっと出てきたホリー・ヒューズの『Best Food Writing』は、以前にククブクで詳しくご紹介しました。

両者がどんなセレクトで互いの個性を発揮していくのかが楽しみですね。

かつての『イミダス』と『現代用語の基礎知識』のように、毎年恒例の対決となるのかもしれません。

マルガリータヴィルの常夏の太陽の生活のファンは、まもなく『Margaritaville The Cookbook: Relaxed Recipes for a Taste of Paradise』によって、島での生活を再現できるようになる。近ごろセント・マーティンズ・プレスと、マルガリータヴィル・ホールディングスによって発表されたその本は、ミュージシャンのジミー・バフェットが1977年に設立したブランドによる、初めてのcookbookだ。マルガリータヴィルのコンセプトシェフ、カルロ・セルナリアとジュリア・ターシェン(『Feed the Resistance』『The Hot Bread Kitchen Cookbook』)の共著で、ハードカバーと電子書籍版が2018年5月1日に発売される。

Margaritaville The Cookbook』の発売は、フード&ワイン誌のニュースをもとにすでにお知らせしましたね。

そのときにも書きましたが、ジュリア・ターシェンが執筆に加わっているということで、ただの企業のブランディングのためのcookbookと思わないでおいたほうが良さそうです。

ニューヨーク・タイムズ紙に載っていた写真集『Feast for the Eyes』の彼女の書評は、あまりに鮮烈だったので、いまでもぼくは彼女に一目置いていますよ。

世界の偉大な哲学者たちは、たいてい食べることが好きだった。それはマーティン・コーエン博士も同じで、彼は『I Think Therefore I Eat: The World’s Greatest Minds Tackle the Food Question』という題名の新刊を出版する。教授であり、ジャーナリスト、『101 Philosophy Problems』の著者でもあるコーエンは、食べものを社会科学と食品倫理とともに取り上げ、「食べることとは何か?」という疑問に答える。この本はターナー・パブリッシングに売却され、2018年の秋にトライデント・メディアグループによって出版される予定だ。

マーティン・コーエンはイギリスの哲学者。

沈没する船から誰を助けるべきか、効率的な戦争を計画するのは正しいことか、といった倫理的な問題を検討する著書『101 Philosophy Problems』は様々な言語で翻訳され、日本でも『倫理問題101問』というタイトルで筑摩書房から発売されています。

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このデザインどうにかしてー(笑)。

そんな彼が「我思うゆえに我食う」なんてタイトルの本を出すなんて、痺れちゃいますねぇ。

発売を心待ちにしたいと思います。

女優のパトリシア・ヒートン(『HEY!レイモンド』『ザ・ミドル 〜中流家族のフツーの幸せ』)が、cookbook『Patricia Heaton’s Food for Family and Friends: 100 Recipes for a Busy, Happy Life』の権利を出版社のウィリアム・モローに売却した。発売日はまだ決まっていない。

知らない女優さんです。

よくあるタレント料理本じゃありませんように🙏

シェフでジェームズ・ビアード財団賞を獲った著者のエイミー・シーレンが、最新のcookbook『Radical Casual』のため、ノートン社と出版契約を交わした。これはシーレンの3冊目のcookbookで、『The New Midwestern Table』と『Give a Girl a Knife』に続くもの。彼女の故郷ミネソタのレシピが、200種類以上掲載される予定だ。

ミシシッピ川のほとりで生まれ、ニューヨークで様々なフレンチシェフの元で修行をしたエイミーは、2013年、フードネットワークの料理番組『Heartland Table』で一躍有名となりました。

そして同年に出版した最初のcookbook『New Midwestern Table』では、ジェームズ・ビアード財団賞のアメリカ料理賞まで受賞しているんです!

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今年2017年には、ミネソタ〜ニューヨーク〜ミネソタというUターンのストーリーを、『Give a Girl a Knife』という題名の自伝的エッセイに綴った彼女。

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2冊目となるcookbookもミネソタの料理をフィーチャーするようで、どのように深化するのかが楽しみです!

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ライター、フォトグラファー。わかさいも本舗さんのウェブサイトのコピーなど。海外の料理本を紹介するサイト「ククブク」は現在お休み中。ロン・パジェットの詩を趣味で訳してます。プロフィール画像は有田カホさんに描いていただきました。