『In Search of Israeli Cuisine』より

イスラエリ・キュイジーヌを探して

「ザハヴ」のマイケル・ソロモノフが手がけたドキュメンタリー映画

Junicci Hayakawa / 早川 純一
ククブク
Published in
5 min readNov 11, 2017

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今日はcookbookではなくて、映画のお話。

『In Search of Israeli Cuisine』より

本日ご紹介する『In Search of Israeli Cuisine』は、フィラデルフィアの超有名レストラン「ザハヴ」のオーナーで、2011年にジェームズ・ビアード財団賞のベストシェフ賞を獲っているシェフのマイケル・ソロモノフが、彼の母国であるイスラエルの料理を紹介するドキュメンタリー映画なんです。

『In Search of Israeli Cuisine』より

マイケルは同じフィラデルフィアで「フェデラル・ドーナツ」というレストランも経営しているのですが、このお店についてはククブクではもうおなじみですよね?

イスラエル料理というと、日本ではフェラフェルやフムスぐらいしかなじみがないという方も多いかもしれません。

でも世界的に見ると、イスラエル料理はいまや注目の的。

元ジャーナリストのヨタム・オットレンギが、ロンドンに開いたレストラン「オットレンギ」で中東料理との見事な融合をはたして以来、各メディアで話題が尽きることがありません。

野菜や果物、スパイスやハーブといった健康的な食材を多く使っているイメージもあって、イスラエル料理はいまだに根強い人気がある料理ジャンルのひとつなんです。

『In Search of Israeli Cuisine』より

先ほど述べたオットレンギや、このドキュメンタリーの主人公であるソロモノフは、世界の料理界の文脈では「革新的なシェフ」として取り上げられることが多いです。

とはいえ、イスラエル料理そのものは非常に長い伝統のある料理で、ユダヤ民族が歴史的に迫害を受けてきたという経緯もあって、その料理文化をきちんと次世代に受け継いでいこうとする保守的な傾向が強いように思います。

『In Search of Israeli Cuisine』はそんな特徴的なイスラエル料理に焦点を当て、現在のイスラエルのフードシーンをかたち作っているシェフやホームクック、ワイン醸造者、チーズ職人などへのインタヴューを敢行。

イスラエル料理の起源やインスピレーション、どうやって伝統を守り、レシピをアップデートしていったかを探り、その文化的複雑さを明らかにしていこうとするドキュメンタリー映画となっています。

『In Search of Israeli Cuisine』より

21世紀初頭の最大のテーマである多様性にもしっかりと目を向け、同じイスラエル国内でもレバノンやシリア、エジプトとの国境近くでは、また違った食の文化があることも目の当たりにさせてくれます。

『In Search of Israeli Cuisine』より

このドキュメンタリーのプレスリリースで、

TVで見る事柄や自分の政治的スタンスに関わらず、イスラエル料理が人間の最高の状態を反映しているのを実感することは、アメリカ人にとって重要なんです。人びとにとって、ある国について述べる一番簡単な方法は、食と文化を通じてなんですから。

と述べているマイク・ソロモノフ。

『In Search of Israeli Cuisine』は、ここ30年のあいだに最貧国のひとつから、世界でもっとも進んだ国のひとつになったイスラエルの姿を、食という切り口から語るポートレートになっています。

『In Search of Israeli Cuisine』より

映画は、アメリカのAmazonビデオやNetflixではすでに配信中。

日本での配信は残念ながらまだのようですが、近いうちに観られることを楽しみに待っていたいと思います!

それまで待ちきれない方は、ジェームズ・ビアード財団賞でブック・オブ・ザ・イヤーを獲得したソロモノフのイスラエル料理レストランのcookbook、『Zahav: A World of Israeli Cooking』をお手にとってみてくださいね。

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ライター、フォトグラファー。わかさいも本舗さんのウェブサイトのコピーなど。海外の料理本を紹介するサイト「ククブク」は現在お休み中。ロン・パジェットの詩を趣味で訳してます。プロフィール画像は有田カホさんに描いていただきました。