金曜日のcookbookランキング
#121 千夜と一夜のサフラン物語
新たな料理本との偶然の出会いを楽しむ、金曜日のcookbookランキング。
5月第4週のランキングをお伝えします。
今週は晴れて気持ちのいい日が続きましたね。
庭のトケイソウたちも今年も続々と咲き出しています。
今週は群馬で以前にお世話になった方からから初夏を告げる山菜の「コシアブラ」が届きました。
我が家では毎年天ぷらにしていただくのですが、今年はチャレンジで妻が一部を「コシアブラ味噌」に仕込んでくれました。
残ったコシアブラは、いつものように天ぷらに。
こういうときくらいしか天ぷらを作らないので、名古屋の天ぷら屋さん「天ぷら小野」でいただいて美味しかった「玉天」も作ってみました。
冷凍した卵に衣をつけて、170度の油で6分ほど揚げます。
時間と温度さえ注意すれば、なかが半熟の玉天がわりと簡単に作れますよ。
それでは、今週のランキングを見ていきましょう!
- 藤田裕子『カラー版 英語でつくる和食―寿し、天ぷら、豆腐料理…日本の代表料理からマナーまで』(ナツメ社)
- The Hubb Community Kitchen『Together: Our Community Cookbook』(Ebury Press)
- Kimberley Walkerほか『Just the Tonic: A History of Tonic Water』(Royal Botanic Gardens Kew)
- Drift Magazine編『Drift Volume 8: London』(Digital Ventures LLC)
- Yasmin Khan『The Saffron Tales: Recipes from the Persian Kitchen』(Bloomsbury Pub Plc USA)
- Janice Poon『Feeding Hannibal: A Connoisseur’s Cookbook』(Titan Books)
- Dr. Stuart Farrimond『The Science of Cooking: Every Question Answered to Perfect your Cooking』(DK)
- Lou Seibert Pappas『Williams-Sonoma: Baking』(Oxmoor House)
- Meik Wiking『The Little Book of Hygge: The Danish Way to Live Well』(Penguin UK)
- Dr Valter Longo『The Longevity Diet: ‘How to live to 100 . . . Longevity has become the new wellness watchword . . . nutrition is the key’ VOGUE』(Penguin)
出典:Amazon.co.jp 売れ筋ランキング(すべてのカテゴリ > 洋書 > Cookbooks, Food & Wine / Kindle版は除く)
今週は2月第2週からおよそ3か月ぶりに、藤田裕子さんの『カラー版 英語でつくる和食―寿し、天ぷら、豆腐料理…日本の代表料理からマナーまで』が第1位に輝きました。
レヴューを読んでいると、日本人が外国に行くときにお土産に持って行くために購入するというケースが多いようですね。
じゃあプレゼントを受け取る外国のひとたちは、この本をどう評価しているのか?
「The English is awful」というレヴューがひとつあったのが気になります……。
そして第2位には、先ごろ男児を出産したメーガン妃が序文を寄稿している『Together: Our Community Cookbook』がランクインしました。
内容を詳しくお知りになりたい方は、こちらのストーリーをご覧くださいね。
さて今週ククブクが注目するのは、今週第5位にランクインの『The Saffron Tales: Recipes from the Persian Kitchen』です。
「サフラン物語」なんて、中世の騎士道物語や説話集のようなおごそかなタイトルですが、内容はペルシャ(イラン)の家庭料理にスポットを当てたcookbookになっています。
著者はロンドンの料理家/ライターのヤスミン・カーン。
あれ、聞いたことがある?と思った方は、ククブクをよくご覧になっている方ですね。
2月にパレスチナ料理のcookbook『Zaitoun: Recipes from the Palestinian Kitchen』を出したときに、いちど詳しくご紹介しました。
このストーリーでちょっと触れられている、クラウドファンディングで初めて作ったcookbookというのが、今日ご紹介する『The Saffron Tales』なんです。
実際にその土地を旅し、訪れた地で人々と交流をしてレシピを集めるというヤスミンの「旅行記的」なcookbook制作の手法は、この『The Saffron Tales』ですでに確立されているもの。
本書ではイラン北西部にあるタブリーズ(標高1350mの地点にある古い街で、気温は氷点下20度になることもあり、周囲の山々は雪におおわれる)やテヘランの世界各国からひとが集まるカフェ、「イランの真珠」と喩えられる古都・エスファハーンのザクロ農園などを「ノート1冊とザクロシロップ1瓶だけの武装で」訪れ、芸術家や農家、電気技師、教師たちからレシピを集めていきます。
聞き取り調査の対象者は、77歳になるヤスミンの実の祖母から、22歳のヒップホップのスターまで、老若男女、職業もさまざま。
彼らといっしょに料理をし、物語を共有することが、彼女のcookbook制作のバックボーンになっているんですね。
『The Saffron Tales』に掲載されているレシピは、鶏肉とクルミ、ザクロの煮込み「フェセンジャーン」やプルーンとバーベリーを詰めたラム肉のミートボール「クフテ・ベレンジ」といった肉料理から、
バラとアーモンドのケーキ、サワーチェリーとダークチョコレートのクッキーといったデザート類まで、およそ80種類が掲載されています。
掲載されているレシピのひとつ、牛肉と卵と春タマネギで作るラグーの一種「ヴァーヴィシュカー」のレシピ動画を見つけたので、最後にこちらに貼っておきますね。
ピタパンにつけて食べるんですね。
お〜い〜し〜そ〜。
といったところで、今週のランキングはここまで。
また来週をお楽しみに!