金曜日のcookbookランキング

#065 フレッド&アスカ

Published in
7 min readApr 20, 2018

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新たな料理本との偶然の出会いを楽しむ、金曜日のcookbookランキング。

4月第3週のランキングをお伝えします。

今週の火曜日、朝ごはんを食べながらテレビを観ていたら、画面にシェフのジャン=ジョルジュ・ヴォンゲリスティンが出ていたんです。

観たかたはお分かりですよね?

あさイチ」です。

いままで観ていなかったので全然知らなかったのですが、この番組では

世界の超一流シェフに(!)スーパーに並ぶごく普通の食材で(!)しかも、ぶっつけ本番&完全ノーカットで(!)料理を作ってもらう「キッチンセッション」

というコーナーをやっているんですね。

いままでにも、元トゥール・ダルジャンのドミニク・ブシェや、

サンパウのシェフ、カルメ・ルスカイェーダが出演していたみたい。

この日、ジャン=ジョルジュはそれぞれ5品の食材を使って(ちょっとズルもしていましたが)即興で、「きのこソテーとアボカド、ごまソース」「削りブロッコリーサラダ ゆずこしょうヴィネグレットとゆで卵」「ふわふわヨーグルトパンケーキ フルーツとしそのソース」の3品を作っていました。

重曹とベーキングパウダーを使ったパンケーキが、ふわふわでおいしそうだったなー。

番組を観てて思ったのは、生放送で事前に何ができるのかわからないのに、番組出演者もスタッフも調理助手も、みんな手際がいいなあということ。

シェフが気持ちよく料理ができるように、そしてひとつの料理が誕生するその瞬間のために、チームワークで番組制作をしているようすに、とても好感を抱きました。

え? いままで観てなかったのに、なんで急に観はじめたのかって?

そりゃ、このふたりが司会を務めるようになったからですよ!

それでは、今週のcookbookのランキングを見ていきましょう!

  1. Michael Booth『Sushi and Beyond: What the Japanese Know About Cooking』(Vintage)
  2. Bill Bradshaw『Cider Manual』(J H Haynes & Co Ltd)
  3. Brian Ashcraftほか『Japanese Whisky: The Ultimate Guide to the World’s Most Desirable Spirit with Tasting Notes from Japan’s Leading Whisky Blogger』(Tuttle Publishing)
  4. 『Drift Volume 6: Mexico City』(Digital Ventures LLC)
  5. Editors of Food52編『Food52 Mighty Salads: 60 New Ways to Turn Salad into Dinner — and Make-Ahead Lunches, Too』(Ten Speed Press)
  6. Fredrik Berselius『Aska』(Phaidon Press)
  7. Janice Poon『Feeding Hannibal: A Connoisseur’s Cookbook』(Titan Books)
  8. Kristin Cavallari『True Roots: A Mindful Kitchen With More Than 100 Recipes Free of Gluten, Dairy, and Refined Sugar』(Rodale Pr)
  9. Margaret Moos Pick『See’s Famous Old Time Candies: A Sweet Story』(Chronicle Books)
  10. Louise Gray『The Ethical Carnivore: My Year Killing to Eat』(Bloomsbury Natural History)

出典:Amazon.co.jpランキング(すべてのカテゴリ > 洋書 > Cookbooks, Food & Wine / Kindle版は除く)

今週の1位は、久しぶりの『Sushi and Beyond』が獲得。

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フードジャーナリスト、マイケル・ブースによる日本の食の滞在記で、『英国一家、日本を食べる』というタイトルでアニメ化されているのはご存知の通り。

そして第2位には、昨年5月発売のビル・ブラッドショーによる林檎酒「シードル」の醸造マニュアル『Cider Manual』がランクインしました。

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ぼくは小布施ワイナリーの発酵シードルが好きです。

第4位には雑誌『DRIFT』の最新号がランクインしていますね。

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第6号の特集は、メキシコシティー。

毎号モノクロの表紙が格好いいです。

さて、今週ククブクが注目するのは、第6位に発売前のランクインをはたした『Aska』。

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昨年12月にちょっとだけご紹介したので、覚えておられる方もいるかもしれません。

本書を書いたフレデリク・ベルセリウスは、スウェーデンに生まれ、現在はニューヨークで活躍するシェフ。

ハンサムですね〜。

彼が2012年にブルックリンに開いたスウェーデン料理のレストラン「アスカ」は、開店から1年も経たないうちにミシュランの星を獲得。

2014年にはボナペティ誌の「アメリカのニュー・レストラン・ベスト10」にも選ばれています。

ちなみに「アスカ」というのは、スウェーデン語で「灰」という意味。

エネルギーをたたえた美しい灰のイメージを、レストランに重ねているのだそうです。

現在は1860年代の倉庫(150年も前!)を改装したビルに店舗を移転して、訪れる人びとをスカンジナビアへの旅にいざなっています。

ミシュランガイドブックでも、3年連続のふたつ星を獲得中。

本書はそんなシェフ・フレデリクの初となるcookbook。

日本人にはまだなじみがない北欧・スカンジナビア料理のフレーバーと、その料理の独特のテクニックについてうかがい知ることができます。

『Aska』より

フレデリクがアスカで大切にしているのは、季節の移ろい。

このため、コースメニューはシーズンごとに一新され、スウェーデンと気候が似ているというニューヨーク州北部やアメリカ北東部の季節の素材が使用されています。

『Aska』より

ウナギやハマグリ、ニシンなど、食材自体には日本とも共通性があるので、調理の違いなどを見比べてみるのも楽しいかもしれません。

『Aska』より

『Aska』には、スウェーデンの家庭料理を基盤にした洗練された85種類の料理のレシピ、そしてフレデリクの個人的なエッセイ、さらに「さすが美術出版社ファイドン!」と唸ってしまう美しい写真が盛りだくさんですよ。

といったところで、今週のランキングはここまで。

また来週をお楽しみに!

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ライター、フォトグラファー。わかさいも本舗さんのウェブサイトのコピーなど。海外の料理本を紹介するサイト「ククブク」は現在お休み中。ロン・パジェットの詩を趣味で訳してます。プロフィール画像は有田カホさんに描いていただきました。