金曜日のcookbookランキング
#057 103は魔法の数字
新たな料理本との偶然の出会いを楽しむ、金曜日のcookbookランキング。
2月最終週のランキングをお伝えします。
昨日は映画館で念願の『スリー・ビルボード』を観てきました!
イギリス本国では劇作家としても活躍する、マーティン・マクドナー監督によるストーリーが素晴らしかった!
イギリス人なのにどうしてこんなに他国の、しかも片田舎の状況を克明に描けるのか。
出演している俳優たちの演技も素晴らしく、傷つき、ズタボロにならなければ、たがいに赦し合うことができない人間のおかしみが、「こういうことってある!」と思わせる些細な行動や、ふとした表情、会話の間などから読み取ることができました。
うちの妻はオールタイムベストの5本に入ると言っていましたが、ぼくにとっても生涯のベスト10には入るかなあ。
人間と社会とをきっちりと描いているので、cookbookについて考えるうえでも参考になることが多かったです。
未見の方は、ぜひ劇場に足を運んでみてほしいです。おすすめ。
それでは、今週もランキングを見ていきましょう!
- Meik Wiking『The Little Book of Hygge: The Danish Way to Live Well』(Penguin UK)
- Jenne Claiborne『Sweet Potato Soul: 100 Easy Vegan Recipes for the Southern Flavors of Smoke, Sugar, Spice, and Soul』(Harmony)
- Jamie Oliver『Jamie at Home』(Penguin Books Ltd)
- Karen Page『The Vegetarian Flavor Bible: The Essential Guide to Culinary Creativity with Vegetables, Fruits, Grains, Legumes, Nuts, Seeds, and More, Based on the Wisdom of Leading American Chefs』(Little, Brown and Company)
- Paul Allamほか『Bourke Street Bakery All Things Sweet: Unbeatable Recipes from the Iconic Bakery』(Murdoch Books)
- E.B. Jackson『Sugar Confectionery Manufacture』(Springer)
- Michael Booth『Sushi and Beyond: What the Japanese Know About Cooking』(Vintage)
- James Hoffmann『World Atlas of Coffee』(Mitchell Beazley)
- Addie Gundry『Retro Recipes from the ’50s and ’60s: 103 Vintage Appetizers, Dinners, and Drinks Everyone Will Love』(Griffin)
- 長山 一夫『鮨』(ピエ・ブックス)
出典:Amazon.co.jpランキング(すべてのカテゴリ > 洋書 > Cookbooks, Food & Wine / Kindle版は除く)
今週はマイク・ワイキングの『 The Little Book of Hygge: The Danish Way to Live Well』が1位を獲得しました。
昨年10月に、三笠書房から日本語版『ヒュッゲ 365日「シンプルな幸せ」のつくり方』も発売されているのですが、それでもまだ売れているというのは、内容よりもデザインで選ばれているのか、英語で読むのを苦にしない日本人が増えているのか、どちらなんでしょうね。
そして第2位は、ジュネ・クレボーンによるヴィーガン南部料理のcookbook『Sweet Potato Soul: 100 Easy Vegan Recipes for the Southern Flavors of Smoke, Sugar, Spice, and Soul』がランクイン。
その名前から、エッグベネディクトの名付け親と言われているクレイグ・クレボーンと関係があるのかなと思ったのですが、どうやら親戚関係ではなさそうですね。
今月発売されたばかりのこのcookbook、くわしくは見ていないのですが、料理写真を見るかぎり、なかなか良さげです。
さて、今週ククブクが注目するのは、第9位にランクインした『Retro Recipes from the ’50s and ’60s: 103 Vintage Appetizers, Dinners, and Drinks Everyone Will Love』です。
本書を書いたアディー・ガンドリーは、フランスのアヴィニョンにあるオーギュスト・エスコフィエ料理学校を卒業し、ダニエル・ブールーやトーマス・ケラー、マーサ・ステュワートのもとで働いた経験もある女性。
現在はロサンゼルスのレストラングループのエグゼクティヴシェフを務めたり、イリノイ州のライフスタイル関係の出版社でコンテンツの制作に関わったりと、多方面で活躍しています。
彼女が全米で一躍有名となったのは、2015年にフードネットワークの料理コンペ番組『カットスロート・キッチン』のハロウィンスペシャルで優勝を飾ったことがきっかけ。
2017年には、勝ち抜くと自分の看板番組がもてる同局の『フードネットワーク・スター』にも出場を果たしています(途中で敗退しちゃいましたが)。
そんなイケイケドンドンのアディーが、初めて自身のcookbookを出版をしたのは、昨年7月のこと。
『Family Favorite Casserole Recipes: 103 Comforting Breakfast Casseroles, Dinner Ideas, and Desserts Everyone Will Love』と『No-Bake Desserts: 103 Easy Recipes for No-Bake Cookies, Bars, and Treats』の2冊が同時に発売され、以降、11月に2冊、今年1月に2冊と、順調にリリースが続いています。
本書『Retro Recipes from the ’50s and ‘60s』は、1月に発売された2冊のうちの1冊で、第二次世界大戦が終わり、戦後のホームエンターテインメント文化が栄えた50年代・60年代の料理のレシピを現代によみがえらせようとするもの。
華々しくテレビに登場したジュリア・チャイルドのブフ・ブルギニョンや、郊外の食卓で家族が囲んだキャセロール料理、ジャクリーン・ケネディに代表される当時のエレガントさを具現化したような料理のレシピが、たっぷりと詰め込まれているのが特徴です。
クックスターにこのcookbookから「ヴィンテージ・ブロッコリー・チーズ・キャセロール」のレシピが掲載されていたので、リンクを貼っておきますね。
ところで彼女のcookbook、どれも103品のメニューが載っているようですが、103にこだわっている理由ってなんなんでしょうね。
といったところで、今週のランキングはここまで。
また来週をお楽しみに!