金曜日のcookbookランキング
#014 モリッシーとオキーフ
4月の第3週になりました。
今週はとても暑い日がありましたね。
まとまった雨はありませんでしたが、二十四節気は「清明」から「穀雨」へと移り変わり、穀物に実りをもたらす雨が多く降りそそぐ時節になりました。
今週の七十二候は、「葭始生(あしはじめてしょうず)」。
いままで枯れ草だとばかり見えていた水辺の葭も、よく見れば緑に芽吹きはじめているという時期で、生命が「生きてて楽しい!」ということを身体全体で表現しているのを見るのは、この時期ならではの醍醐味ですよね。
ちなみに葭は食用にはならないイメージですが、若芽はタケノコのように食べることができ、滋賀の近江八幡には「葦うどん」なんて名産物もあるんですよ。
それでは、今週もAmazon.co.jpの売れ筋ランキングを見ていきましょう!
- Stefan Van Eycken『Whisky Rising: The Definitive Guide to the Finest Whiskies and Distillers of Japan』(Cider Mill Press)
- Automne Zingg『Defensive Eating With Morrissey: Vegan Recipes from the One You Left Behind』(Microcosm Pub)
- Mari Nameshida『JAPANESE RECIPES from MARI’S TOKYO KITCHEN』(ぴあ株式会社)
- James Hoffmann『World Atlas of Coffee: From Beans to Brewing — Coffees Explored, Explained and Enjoyed』(Mitchell Beazley)
- David Lebovitz『The Sweet Life in Paris: Delicious Adventures in the World’s Most Glorious — and Perplexing — City』(Broadway Books)
- James Campbell『Japanese Patisserie: Exploring the beautiful and delicious fusion of East meets West』(Ryland Peters & Small)
- Margaret Wood『A Painter’s Kitchen: Recipes from the Kitchen of Georgia O’keeffe』(Museum of New Mexico Pr)
- Janice Poon『Feeding Hannibal: A Connoisseur’s Cookbook』(Titan Books)
- Donna Hay『Seasons: The Best of Donna Hay Magazine』(Hardie Grant Books)
- Nancy Singleton Hachisu『Preserving the Japanese Way: Traditions of Salting, Fermenting, and Pickling for the Modern Kitchen』(Andrews McMeel Publishing)
出典:Amazon.co.jpランキング(すべてのカテゴリ > 洋書 > Cookbooks, Food & Wine / Kindle版は除く)
今週は、先々週トップだった国産ウイスキーの本格的ガイドブック、ステファン・ヴァン・エイケンの『Whisky Rising』が1位に返り咲きました。
WHISKY Magazine Japanに掲載されている著者インタヴュー、もう一度リンクを貼っておきますね。
そして今週ククブクが注目したのは、2位の『Defensive Eating With Morrissey』と7位の『A Painter’s Kitchen: Recipes from the Kitchen of Georgia O’keeffe』。どちらもこのランキングには初登場です。
『Defensive Eating With Morrissey』は、80年代のイギリスを席巻したロックバンド「ザ・スミス」の元ボーカル、モリッシーにインスパイアされたcookbook。
モリッシーは菜食主義者で、コンサート会場の手荷物検査で肉類チェックをおこなったり、会場内のマクドナルドをコンサート当日は休業させたりと、肉嫌いを徹底していることで有名です。
『Defensive Eating With Morrissey』は、そんなモリッシーのようなベジタリアンでも料理を楽しめるようにと企画された、イラストフルなcookbook。
自身ミュージシャンでもあるイラストレーター、オータム・ジングが書いたモリッシーのさまざまなイラストをメインに、ビーガンシェフのジョシュア・プルーフのレシピが添えられていて、ページを眺めるだけで楽しいcookbookにしあがっています。
最初はKICKSTARTERで資金集めをおこなったんですね。オーストラリアのシンガー、ニック・ケイヴのcookbookも同時発売されていますよ。
いっぽう『A Painter’s Kitchen: Recipes from the Kitchen of Georgia O’keeffe』は、20世紀のアメリカを代表する画家、ジョージア・オキーフに焦点を当てたcookbook。
彼女の作品には、花や骨などの自然物をキャンバスいっぱいに描いた絵が多いのですが、彼女が毎日の食事に対して求めたものも、同じように自然で健康的なものでした。
このcookbookは、そんな彼女たち(彼女の夫は「近代写真の父」アルフレッド・スティーグリッツ)の家で料理を作っていた個人シェフ、マーガレット・ウッドが書いたもの。
オキーフから直接教わったというサラダやスープ、野菜料理など100種類近くのレシピが掲載されていて、アメリカを代表するアーティスト夫妻が、当時どんなものを食べていたのかをうかがい知ることができます。
身体のなかに摂り入れるものは、身体の外に表現として出てくるものにつながっているはず。
彼女たちの作品のインスピレーションに、食べものがどう関係しているのか、分析してみるのも面白いかもしれませんね。
それでは、また来週をお楽しみに!