金曜日のcookbookランキング
#031 BBCドラマのモデルになったフードライター
毎週新たな料理本との偶然の出会いを楽しむ、金曜日のcookbookランキング。
8月第3週のランキングをお伝えします。
先週はスルーしてしまったのですが、気づけばこのランキングの連載も30回を突破していたんですね!
こうやってパブリケーションが続いているのも、読んでくださるみなさんがいるおかげです。
いつもどうもありがとうございます🙌
そういえば、Mediumの「お気に入り」が、ハートマークから拍手を表すクラップマークに変わりましたね。
クラップマークの場合は、ひとり1回だけでなく、気の済むまで何回でもタップ(クリック)することができますので(『トリビアの泉』のへぇボタンと同じ)、ストーリーを気に入った具合に応じて、気軽にじゃんじゃん押してみてくださいね(Mediumアカウントが必要なのは相変わらずです💧)。
さて、今週の七十二侯は「蒙霧升降(ふかききりまとう)」。
立秋も終わりが近づき、この頃になると山間部や湖などに、白くて深い霧が立ちこめるようになります。
朝のひんやりとした霧のなかをランニングしたら気持ちいいだろうなぁ。
「蒙」という字はモンゴルを思い起こさせますが、「啓蒙」ということばがあるように、元々は「ぼんやりとしている、暗い」といった意味があるんですね。
海外の料理本の世界も、日本から見ると蒙鬱としている部分もありますが、晴れやかに爽やかに光を照射して、何か新しくて、ぼくたちにとっても役立つものを見つけていきたいと思います。
それでは、今週のAmazon.co.jpの売れ筋ランキングを見てみましょう!
- 『Drift Volume 5: Melbourne』(Digital Ventures LLC)
- Nancy Singleton Hachisu『Japanese Farm Food』(Andrew Mcmeel)
- Megumi Fujii『Ten-Minute Bento』(Vertical)
- Deborah Barsel編『The Photographer’s Cookbook』(Aperture)
- Ghillie Basan『Lebanese Food and Cooking: Traditions, Ingredients, Tastes, Techniques, 80 Classic Recipes』(Lorenz Books)
- 『Drift Volume 3: Havana』(Digital Ventures LLC)
- Asher Budwig『Lola’s Forever: Recipes for cupcakes, cakes and slices』(Ryland Peters & Small)
- David Changほか編『Lucky Peach: The Best of Lucky Peach』(Lucky Peach)
- Harumi Kurihara『Harumi’s Japanese Cooking: More than 75 Authentic and Contemporary Recipes from Japan’s Most PopularCooking Expert』(HP Books)
- Nigel Slater『Real Food』(Fourth Estate)
出典:Amazon.co.jpランキング(すべてのカテゴリ > 洋書 > Cookbooks, Food & Wine / Kindle版は除く)
今週の1位は、フードマガジン『Drift』の第5号メルボルン特集が獲得しました。
第6位も『Drift』ですね。第3号ハバナ特集。
今週は雑誌のランクインが3冊もあり、第8位には『Lucky Peach』のホントにホントの最終号がランクインしています。
もうすぐEaterあたりで表紙が解禁になると思いますよ。楽しみ。
そして2位には、ナンシー・シングルトン・八須さんの『Japanese Farm Food』がランクインしました。
このcookbookについては、3月のランキングでご紹介しましたね。
あれから5か月ほど経ったわけですが、ナンシーさんは現在、ファイドン社から来年春に発売予定の『Japan: The Cookbook(仮)』を執筆中だそうですよ。
さて、今週ククブクが注目するのは、第10位にランクインしたナイジェル・スレイターの『Real Food』。
ランク外ですが第11位にも彼の『Tender, Volume 2: A Cook’s Guide to the Fruit Garden』が入っていまして、きっと誰かが合わせ買いをしたのだと思います。
ナイジェル・スレイターは、イギリスのフードライター、フードジャーナリスト。
イギリスの全国紙ザ・ガーディアンの日曜版であるオブザーヴァー紙に、10年以上もコラムを掲載しています。
イギリスのほぼ真ん中にある都市、ウルヴァーハンプトンで工場経営者の息子として生まれた彼は、ハイスクール時代に文章を書くことの楽しさに目覚め、同時に料理にも興味を抱くようになります。
文学と料理なんて、経営者の父親からすれば何の役にも立たない学問ですよね。
当然のように父親との確執が生まれるわけですが、このあたりの経緯、実は後年BBCが彼の青年時代をコメディータッチでテレビドラマ化しており、いまではDVDやNetflixなどで観ることができるんです。
父の再婚相手の家政婦さんを、ヘレナ・ボナム=カーターが演じています。
『トースト 〜幸せになるためのレシピ〜』というんですが、ご存知ですかね?
その後、ホテルやレストランで働いたあと、1988年にマリ・クレール誌のフードライターとなり、めでたくライターとしてのキャリアを築いていくナイジェル。
いままでに15冊のcookbookを書き、9つのテレビ番組のホストを務め、優れた書籍やテレビ番組に与えられる数々の賞を受賞しています。
もしかすると、『トースト 〜幸せになるためのレシピ〜』でナイジェルに興味を持った人が、どれどれ彼のレシピはどんなもんだろうか?と思って、cookbookを購入したのかもしれませんね。
というわけで、今週はここまで。来週のランキングをお楽しみに!