金曜日のcookbookランキング
#139 あたまゆるゆるくっくぶっく
新たな料理本との偶然の出会いを楽しむ、金曜日のcookbookランキング。
11月第1週のランキングをお伝えします。
最近、気になっているカメラがあるんです。
「ペケプロさん」こと、富士フイルムのX-Pro3。
見た目はクラシックなレンジファインダータイプのカメラなんですが、注目すべきはその裏側。
ずん!
フィルムで撮れるわけではないんですよ、念のため。
最近のデジタル一眼では標準装備の、大型背面液晶ディスプレイがなく、かわりに設定などを表示できる小さな液晶がついているだけなんです。
フィルムで写真を撮っていたひとはご存知だと思いますが、昔のカメラの裏側にはフィルムの箱の切れ端を入れて、いま使っているフィルムの種類や感度を忘れないようにするためのポケットがあったんです。
それを模して正方形の小さな液晶画面を入れるという、デジタルに慣れたひとには機能的にはまったく不便で、いかにも変態的なデザイン。
そのあまりの潔さに、写真はファインダーを「のぞいて」撮るものだという強い哲学を感じてしまうんですよね。
先日、上野にある東京国立博物館 表慶館で開催されたデビューイベントに行って、実物を触ってきたんですが、これはスマホカメラの高精細化と「写真」の陳腐化に辟易して、カメラでの撮影から遠ざかっていたひとたちにこそ、響くカメラになっていると思いました。
何年か後に安くなっていたら買いたいな。
それでは、今週のランキングを見ていきましょう!
- Hugh Johnsonほか『The World Atlas of Wine 8th Edition』(Mitchell Beazley)
- You Suck at Cooking『You Suck at Cooking: The Absurdly Practical Guide to Sucking Slightly Less at Making Food』(Clarkson Potter)
- Diana Henry『From the Oven to the Table』(Mitchell Beazley)
- Maangchiほか『Maangchi’s Big Book of Korean Cooking: From Everyday Meals to Celebration Cuisine』(Rux Martin / Houghton Mifflin Harcourt)
- Ingvar Ronde『Malt Whisky Yearbook 2020』(MagDig Media Ltd)
- Sylvia Weinstock『Sylvia Weinstock’s Sensational Cakes』(Harry N. Abrams)
- Brian Hart Hoffman『Bake from Scratch: Artisan Recipes for the Home Baker』(Hoffman Media)
- Brian Hart Hoffman『Bake from Scratch: Artisan Recipes for the Home Baker』(Hoffman Media)
- Angela Nilsen『Good Food Magazine: 101 Christmas Dishes: Tried-and-Tested Recipes』(BBC Books)
- Gerhild Fulson『German Meals at Oma’s: Traditional Dishes for the Home Cook』(Page Street Pub Co)
出典:Amazon.co.jp 売れ筋ランキング(すべてのカテゴリ > 洋書 > Cookbooks, Food & Wine / Kindle版は除く)
今週はまた地図で読み解くワインガイドの最新版『The World Atlas of Wine 8th Edition』が首位に立ちました。
予想以上に売れていますね。
6年ぶりの改訂版ということで、以前の第7版を持っているひとは軒並み買い替えているのかもしれません。
そして第2位は飛ばして、第3位にランクインしたのがダイアナ・ヘンリーの『From the Oven to the Table』。
オーブンひとつ、あるいはその代わりのフライパンひとつでできる料理に焦点を当てたcookbookで、ククブクでは9月の終わりにご紹介しました。
鳥もも肉が好きなひとは必見!
さらに第4位にも、ククブクでご紹介済みのcookbookがランクインしました。
ユーチューバー「マンチ」の韓国料理のcookbookでしたね。
このストーリーを書いてから、チーズタッカルビにハマっています……。
さて、今週ククブクが注目するのは、さっき飛ばした第2位に登場した『You Suck at Cooking: The Absurdly Practical Guide to Sucking Slightly Less at Making Food』。
表紙からして奇妙ですよね。。。
タイトルを直訳すると「あなたは料理が下手くそ」という意味ですが、これもまた最近主流のYouTubeチャンネルからの書籍化ということになります。
YouTubeチャンネル「You Suck at Cooking」をカテゴリー分けするなら、いちおうレシピサイトということになるんでしょうけど、ただのレシピ動画ではないんです。
たとえばこの「正義のサンドウィッチ」のレシピ動画。
普通に調理が始まったかと思いきや、1分を過ぎたあたりから突然「卵」が主人公の警察ドラマが始まります。
今までに27人ものバディを失った刑事の気持ち……。
そんなことを考えていると、やがて卵をかき混ぜる音が聞こえてきて、またレシピ動画に戻ります。
う〜ん、ことばで説明しても難しいですね(笑)。
とにかく動画を観てください!!
こちらの動画では、マカロニ&チーズに挑戦。
でも料理の途中でテキーラを飲んで休憩すると、場面はいきなりビーチサイドに飛んだります(1分30秒のあたり)。
ふたたびレシピ動画に戻るんですが、料理が完成して盛り付けると、キッチンの窓辺にはぐるぐると回るコマが……。
はい、あの映画を観たひとは意味が分かりますよね。
こうしたゆるいギャグを適度に盛り込んだちょうどいいレシピ動画が、「You Suck at Cooking」のスタイルなんです。
本書『You Suck at Cooking』も、基本的にはYouTube動画のゆる〜い感じを踏襲。
「ブロッコリー・チェダー・キッシュ・カップケーキ マフィンタイプ」や「エディーのこがし赤トウガラシ・ディップ」、「ハラペーニョ・チキン」など、料理を怖がる気持ちも薄れてしまいそうなほど適当な(簡単な)レシピが60種類以上掲載されています。
これ↓なんかは、アボカドでカップを作るというだけのレシピ。
いままでにcookbookの手順のなかで「スプーンを空中に投げる」なんて指示を見たことがあっただろうか!?
アメリカのお葬式の定番料理のポテトサラダも、マッシュしていないので「死者よりも参列者の興味をひく」こと請け合いだそうです。
レシピ自体はいたってまっとうに作られていて、料理の初心者にもおすすめらしいですが、やはりネタ的なcookbookなので、購入する場合にはギャグがわかる寛大な心が必要ですよ。
でもこういうゆる〜い感じなら、料理との距離を圧倒的に詰めてくれるきっかけになるかもしれませんね。
といったところで、今週のランキングはここまで。
また来週をお楽しみに!