ブッチャーと野獣、ついに来訪!!
NY・肉料理専門店のcookbookが発売に
ニューヨーク「ベアトリス・イン」のオーナー兼シェフ、アンジー・マー。
彼女の初となるcookbook『Butcher and Beast: Mastering the Art of Meat: A Cookbook』が発売になることは、6月にお伝えしました。
肉食を忌避する傾向にあるここ最近のフード界にあって、肉料理をメインに提供するレストランのcookbookが発売されるということで、発売前から注目度がかなり高かったこの作品。
この10月1日にいよいよ発売になりレシピページも公開されましたので、続報をお伝えしたいと思います。
今日読むのは、前回と同じフード&ワイン誌の10月1日付け記事です。
この4月にフード&ワイン誌に表紙をチラ見せしたアンジー・マーだが、ついにそのデビューcookbook『Butcher + Beast: Mastering the Art of Meat』がリリースされた。しかし彼女に聞けば、それがただのcookbookではないことがわかるだろう。もちろん、そのページにはぜいたくで美味しそうなレシピがいっぱいだ。「ミュスカデの枝で燻製したウサギ肉」から彼女が「ハンバーガー界のバーキン」と呼ぶものまで、この本には「考えうる限りのすべてのタイプの肉料理」が掲載されている。
ハンバーガー界のバーキン、気になりますよね。
こちらの記事では「ウェストヴィレッジで一番」と評価され、
こちらの動画でも絶賛されている、45日間熟成したドライエイジ肉のハンバーガー。
本書にはドライエイジングの技術まで書かれているので、本気になれば肉を熟成させるところからしっかりと作ることができますよ。
しかしこのジェイミー・フェルドマーとの共著となる書籍は、批評家からの評価も高いニューヨークのレストラン「ベアトリス・イン」が今日に至るまでの、マーと彼女のチームの旅のストーリーも語ってくれる。彼女は『Butcher + Beast』が弁解じみない、正直なものであってほしいと望んでいる。自分の目を通して、読者にレストランを見てもらうための機会だと考えている。
最後の謝辞のページにもスタッフひとりひとりのスナップ写真が添えられていて、アンジーのチームを大事にしている姿勢がよく伝わってきます。
「私はこの本を自分の本当のアイディアをシェアするために書きました。でも気が狂ったアイディアだと思われるかも。それはこのレストランを特徴づけるレシピだったり、国内の報道機関やダイナーを二極化したドライエイジングの技術だったり、その過程で私たちが経験してきたストーリーだったり」とマーは序文で書いている。「一日の終わりに、私はこの本が記憶と経験を読者に届けてほしいと思っています。なぜなら、ここには私の多くの記憶や経験と不可分なものもあるから」
実際のところ、季節ごとにまとめられた総数80のレシピがあるとはいえ、『Butcher + Beast』は単なるレシピ集ではない。「野生のイノシシのポソーレ・ベルデ」や「ラベンダーエイジド・ビーフ」に囲まれたなかに、読者は個人的なエッセイや、それに合わせたおぼろげで夢のなかのようなポラロイド写真が散りばめられたページも見つけることだろう。
この「おぼろげで夢のなかのような」写真は、アンジー(@angiekmar)やベアトリス・イン(@beatriceinn)のインスタグラムでも見ることができて、世界観をちゃんと統一しているんだということがわかります。
本のなかの最初の料理「豚肩肉のミルク煮込み ジャスミンライスのスービーズ、舞茸、セージ添え」は、マーによると家にいる感じがする料理で、大人になるまでに何度も何度も練習して作ってきた料理だという。
この料理ですね。
隣のページにはこれを受けた「船長のことばは法律」というエッセイがあって、マーはそこに亡くなった父の影響について書いている。
たしか毎晩6時にTボーンステーキを食卓に並べるお父さんでした😁
ざっと読んでみましたが、彼女の中国系のお父さんはブルース・リーと一緒に皿洗いの仕事をしたこともあるらしく、いつも彼女の夢を応援してくれていたんだそうです。
残念ながらこのcookbookの出版を待つことなく、2018年の春に亡くなったのだとか。
夏の章に進むと、「ラム肉のロッシーニ」と「マトンの脚肉のロースト」のあいだに共働き家庭だった家族に捧げる頌歌が書かれている。秋の章では彼女の創作のプロセスと、なぜ彼女がめったに外食をしないのかについての説明が述べられている。それは、彼女がベアトリス・インで出すアイディアが常に目新しく、他の影響を受けていないものであることを保証するためだ。
これは意外。
誰かとアイディアが被らないようにするためには、往々にして「他を知る」必要があるのではないかと思っていましたが、彼女の場合はまったくの逆で、「他を見ない」ようにする。
どっちがいいのかなぁ。
ただ、彼女の場合はすでに世界観が確立されているので、もし被ってしまったとしても「こういうこともあるよね」で済ませる強さがあるのかもしれません。
カクテルに捧げられたページもある。ルバーブを漬け込んだ162ページの「ピンク・フロイド」や、金粉を入れてトリュフを漬け込んだジンベースのベアトリス・インのシグネチャー、255ページの「ビッグ・ポッパ」などだ。
「シェーヴルチーズケーキ」や「サクランボのクラフティ ハニー・ホイップクリームがけ」といったデザートだって登場する。
本を閉じるのが近づくころには、マーは「食料庫」という題名のバター、ハチミツ、スープストックに関する百科事典と、「彼女の料理の背景」を形作ったその他のレシピに話題の主軸を移す。これらはベアトリス・インの一部をあなたの家にもたらすための基本を教えてくれる。
このフード&ワインの記事で取り上げられている以外では、レシピ「鴨肉とフォアグラのパイ」や「鹿肉のカスレ」「骨髄とバーボンのクリームブリュレ」など、80種類以上が掲載。
その他に彼女のシャンパンに対する偏愛や、
「ニューヨークのレストランシーンでトップをひた走るために必要なものと現実」といったエッセイも充実しています。
『Butcher + Beast』は現在Amazonやバーンズ&ノーブルなどの書店で入手できる。しかしニューヨークに住んでいるファンなら、この新刊を祝うもうひとつの方法がある。10月23日の午後6時30分から、ベアトリス・インで私たちはスペシャルイベントを開催する予定だ。編集長のハンター・ルイスに加え、マー本人、ジャック・ペパン、そしてパット・ラフリーダも参加する。
アンジーとジャック・ペパンはすでに仲良しの模様。
そしてパット・ラフリーダはどういう人物かというと、ドライエイジングを得意とする肉卸業者で、アンジーの店には欠かせない存在ですね。
チケット(ここで入手できる)は350ドルで、5品のディナーコース、ワインのペアリング、『Butcher + Beast』が1部、そして『フード&ワイン』の11月号が含まれる。11月号では、マーとパット・ラフリーダがアーカンソー州で鴨撃ちをするストーリーが特集されている。収益の一部はジャック・ペパン財団に寄付される。残り席はあとわずか。そこでお会いできることを楽しみにしている。なおマーのコメントはポッドキャスト「コミュナル・テーブル」でも聴くことができる。
記念ディナーは無理だけど、今度ニューヨークに行くときには絶対に訪れたい店のひとつになりました。
アンジー・マーの『Butcher and Beast: Mastering the Art of Meat: A Cookbook』は、クラークソン・ポッターから絶賛発売中ですよ!