お弁当箱は究極のモバイルデバイス
お腹もふくれるインド料理のcookbook
おせちに飽きたらカレーもね。
この時期にこれほどぴったりな七五調もないですよね。
今日は今年最初のインド料理のcookbookをご紹介したいと思います(ちょっと遅いくらい?)。
ポートランド・プレス・ヘラルド紙のレシピ記事をもとにお伝えします。
『Tiffin』は表紙にたくさんの魅力がある、大きくて見事なcookbookだ。表紙のアートワークと中身のドローイング、地図、そして写真、どれもみな素晴らしい。
はい、ご紹介するのは、昨年10月に発売になった『Tiffin: 500 Authentic Recipes Celebrating India’s Regional Cuisine 』です。
その本のタイトルは、インド中で使われている伝統的な弁当箱の名前から採られている。
ティフィンあるいはダッバーとも呼ばれるステンレス製の4段重ねの弁当箱、インド映画によく登場しますよね。
これもそうだった。
単なる小道具としてだけでなく、こうやって映画の主要な題材として選ばれるくらい、人びとに欠かせない文化なんですね。
デザインだって豊富です。
そのレシピもまたインド中から集められ、地元料理が得意なシェフたちから集められたものだ。編者はこの本を地理的に構成し、6つの地方それぞれに序文と生産物およびキッチンの写真が添付されている。
6つの地域とは「北インド」「中央インド」「西インド」「南インド」「東インド」「北東インド」の6つ。
主要穀物(小麦か、米か)や宗教的なちがい(ヒンドゥー教か、イスラム教か)などが料理文化に影響しているので、それに従って分けられているのだと思います。
編者のソナル・ヴェドはインド料理には共通するフレーバーがいくつかあると指摘しており、この本にはスパイスと穀物のイラスト付き用語集や、なじみのない食材やテクニックについての章も含まれている。
スパイスの用語集はこんな感じで目で見てわかりやすくなっています。
編者のソナル・ヴェドは、インド版ヴォーグ誌のフードエディターなども務めている人物。
ムンバイ在住で、インドの新聞や雑誌などでフードライターとしても執筆をしている彼女は、2017年に『Gujju Goes Gourmet』という電子版のcookbookも出しています。
レシピ — — 前菜からデザートまでに及ぶ — — はむずかしくないが、いくつかのスパイスや食材は改めて探さなければならないかもしれない。レシピのほとんどは2人前、あるいは奇妙なことに、3人前。
いちばん大きな不満(牛肉、と言いたいところだが、これはインド料理のcookbookであり、魚、チキン、ラム、豚肉がほとんどで、牛肉のレシピはひとつもない)は、そのインデックスにある。多くの場合、料理の名前は英語やなじみのある名称ではない。例えば、序文には「バターチキンカレー」のレシピがあると書かれている。しかしインデックスを見ると、バターチキンカレーの項目を見つけることはできないだろう。
日本の料理本と英語のcookbookの大きな違いとして、巻末に「食材」や「料理名」でレシピページを検索できるインデックスがあるかないかがあります。
これ、実際に家にある食材で料理をしようと思ったときにとても便利なのですが、どうして日本の料理本にはあまり実装されていないんですかね?
ただし、この『Tiffin』では問題点もあるようで、
「バターチキンカレー」のインドでの名称が「ムルグマカニ」であるとは、グーグル検索をしなければわからない。 インデックスの「チキン」の項にちゃんとあるにもかかわらず。ヒンディー語が話せるひとでなければ、料理を容易に見つけることはむずかしいだろう。つまり、本をパラパラとめくりながらレシピを発見する楽しみがあるということだ。
まあ、ポジティヴに解釈していますが、やっぱりこれは検索には向かないわけで、「Chicken」の項目に「Butter Chicken(Murgh Makhani)」と表示したほうが親切で使いやすいと思います。
ベジタリアンのひとは、香りの強いスパイスとフェヌグリークのダンプリングの入った鍋ひとつでできる野菜のキャセロールのような、たくさんのレシピを見つけることができるだろう。
私は南インドのスパイシーなココナッツ・チキンカレーを作ることにした。気温が20度を下回ることは滅多にないような地域で食べられている料理だけれども、なめらかでスパイシーなソースが絡んだチキンは、メイン州の冬の寒い夜に玄米とローストしたブロッコリーを添えて出すにはぴったりだ。
筆者が作ったというのは、南インド・マンガロールの料理「コリガッシ」です。
確かにこれは温まるわー。
辛い料理が苦手なひとがいたので、必要とされているすべてのトウガラシを使わなかったことは認めよう。骨のついたチキンを使うのが好きなので、皮なしの骨つき鶏もも肉(鶏もも肉4本、合計1キログラムでレシピが要求している2カップ分の肉とした)を選んだ。書かれた調理時間は、それを作るのに充分だった。チキンに火が入った後、私はそれをソースから移してとろ火にし(やや水っぽく思えた)、冷ましたチキンから骨をはずしてからソースに戻して温め直した。
ソースがなめらかだけども炒めたスパイスが香ばしくって、そのカレーはおいしかった。
ということで、いろいろアレンジを加えていますがレシピの再現性も合格点のようです。
もしなじみのない食材に困惑させられるのが嫌だったら、平日の夕食を作ることができる『Tiffin』のレシピはぴったりだ。説明はわかりやすくて、ごちゃごちゃ余計な解説はほとんどない。そしておまけにうれしいことに、3人前とレシピに書かれているカレーは、4人で食べても充分な量だった。
この後、元記事では『Tiffin』のコリガッシのレシピが転載されていますので、作ってみたいと思った方はリンクをたどってみてくださいね!
国土の広大なインドの料理が500種類以上掲載されているcookbook、『Tiffin: 500 Authentic Recipes Celebrating India’s Regional Cuisine』。
アシェットグループのニューヨークの出版社、ブラック・ドッグ&レヴェンサルより発売中です。